プージャの締めくくりに唱えられるクシャマー ヤーチュナー マントラ


インドのお祈り儀式は、寝食を犠牲にするほど日数を伴うのものもあり、火を扱う護摩焚き儀式では1時間ぐらいから始まります。神話を読誦する儀式ですと3~4時間から数日を要するものも多くあります。

ラーマジュラにある旅行代理店のオーナーは毎朝3時間もお祈りをするので店を開けるのが正午過ぎになります。至急連絡をとりたい時に電話をしても繋がらず、やっと繋がったと思ったら…「プージャの最中だった。」とのこと。営業時間中は顧客を神様のように扱うつもりで、茶菓子を振舞ってもてなすのがモットーですが、午前中は音信不通になるので各々のインド人の日常パターンを知った上でチケット手配をお願いするのが前提になります。


そういえば、故安倍元首相が10年程前にバラナシに訪れた際、モディ首相に案内されて歓迎式典で約2時間ガンジス河の前でアラティを観賞したそうです。その後、故元首相が「インド人は御祈りのための時間が沢山あるほどだから、新幹線は必要ないですね」と話されたと言います。本当にそのように話したのか、茶化して小話が作られたのかはわかりません。その当時私はバラナシーで勉強のために滞在していたのですが、記者が日本人を見つけたらインタビューするために部屋の扉を執拗に叩くほど狂気じみていたので、作り話が生まれても不思議ではありません。


バラナシーの思い出


それほど祈りに対する時間と熱意はギネス級です。

何年住んでも掴みどころの無いインドですが、長いプージャの終盤でほぼ共通で唱えられるシュローカがあります。これを耳にすると「もうそろそろ終わるのだろう」とわかるようになりました。


上の動画のタイトルです。
”क्षमा याचना मंत्र, पूजा करने के बाद इन श्लोकों को पढ़कर भगवान से अपनी गलतियों की क्षमा याचना करें”
「許しを請うマントラ。プージャの後でこれらのシュローカを読んで神様に自分の無知・間違いを許してもらいましょう~。」

特にクシャマ― マントラとして私がよく耳にするのが下記のシュローカです。

1分24秒~
मंत्रहीनं क्रियाहीनं भक्तिहीनं जनार्दन। 
यत्पूजितं मया देव! परिपूर्ण तदस्तु मे॥

マントラヒーナン クリヤーヒーナン バクティヒーナン ジャナールダン
ヤトプージタン マヤ― デーヴァ パリプールナ タダストゥ メー

1分43秒~
आवाहनं न जानामि न जानामि विसर्जनम्। 
पूजां चैव न जानामि क्षमस्व परमेश्वर॥ 

アーヴァ―ハナン ナ ジャーナーミ ナ ジャーナーミ ヴィサルジャナム
プージャン チャェヴァ ナ ジャーナーミ クシャマスワ パラメーシュワラ


これは日々の生き方の間違いというよりも、プージャの仕方、神様への接し方について無知で御免なさい、それでも精一杯自分の思いつく限りの祈りであなたに捧げるためのお祈りをしました。」という意味合いで唱えられるマントラだそうです。

50代のおじさんがクリシュナ神の像を毎日ミルク風呂で入浴させて着替えさせ、ブランコに座らせて揺らして遊ばせたり、プージャの最中に牛の尿を飲んだりとか、あらゆる手法をやり尽くし締めくくりに「マントラも全く知らないし、神様へのお世話も下手ですみません」と許しを請うのだから手抜かりがないのは言うまでもなく、謙虚な文言であるようで、どや顔で唱える人もいるし、じっと観察してしまう場面でもあります。

全身全霊でプージャをするインド人とは対称的に、最近それとは真逆のプージャをするインド人がタポヴァンにいるのを知ってしまったのですが、その人は神様に汚い言葉で罵り、願いを叶えてくれなかったら痛い目に合わすと脅すプージャの仕方で、「神は俺を恐れて全てを与えた!」と豪語しているんですね。大変レアなケースで周囲のインド人もその度胸に驚いて苦笑していました。

全くお祈りもしない、神様に無関心であるよりかは、神様に「おい!お前な〜!」と罵ってでも神様のことをいつも忘れない態度のほうが好感度が高い(?)そうなんですね。自分なりのプージャを確立している彼の手法は、表面的な作法だけのプージャより勝るものがあるかもしれません。